団長:共産党はこの機を見逃さず、蒋介石側に「もし一致抗日に協力してくれるなら、われわれは喜んであなたの配下になりましょう」と持ちかけたんだ。要は今までのことは一切水に流し、倒産寸前にある自分たちを吸収合併して救ってほしいという要求だな。
ともみ:虫のいい要求だわね(笑)
団長。そうだろ。だけどその虫のいい要求を臆面もなくやるのが中国共産党のしたたかなところでもあるんだな。
ともみ:で、蒋介石は応じたの?
団長:いや、左派系の論者の中には彼がただちに要求を呑み、その結果、すぐさま国共合作が成立したかのようにいう人もいるが、実際にはそれほどスムーズに行ったわけじゃあないんだ。
ともみ:というと?
団長:じつは国民党と共産党が合作したことは前にもあったんだ。孫文が国民党をつくった際、その綱領の中に「連ソ・容共・扶助工農」というのがあった。要するに共産党と協力して国づくりを進めようということだな。これに沿って国民党は共産党員をその党籍を持ったまま受け入れたんだ。これが第一次国共合作だ。
ともみ:ふ〜ん。でもどうして仲違いしちゃったの?
団長:共産党が国民党のいうことを聞かず、勝手なことをやりはじめたからだ。それどころか、共産党は国民党の尻馬に乗る形で共産主義革命を推し進めようとしたんだ。
ともみ:それは困るわよね。
団長:だろう。それでもうお前らとはもう一緒にやってられん、ということで蒋介石は共産党員を一斉追放したんだ。これが1924年に発生した四・一二上海クーデターってやつだ。
ともみ:そんなことがあったのね。なのに臆面もなくまた一緒にやろうっていうのはやっぱり虫が良すぎるんじゃない?
団長:ともみもそう思うだろ? 蒋介石も同じだ。だから最初はなかなか応じようとしなかったんだよ。「あいつら前回も俺らの仲間になるふりをし、勝手に入り込んできておきながら結局裏切ったからな。そうは問屋がおろさんぞ」ってね。
ともみ:そうだわよね〜。
団長:とはいえ共産党も必死だった。なにせこの千載一遇のチャンスを逃したら、あとはもう壊滅を待つしか道はなかったんだからな。
ともみ:それで共産党はどうしたの?
団長:それがラッキーなことに今度もまたなぜか追い風が吹いたんだよ。
ともみ:どゆこと?
団長:翌年の7月7日、北京郊外の盧溝橋で謎の発砲事件が発生、それを機に日中の小ぜり合いが始まったんだ。
ともみ:盧溝橋事件ね!
団長:ピンポ〜ン! その通り!